財政は難しい。よくわかんない。「日本は借金が多いから大変だ」という意見もあれば、「借金の額は多くても、日本は資産が多いから大丈夫だ」という意見もある。そこで、今回は下記の3つの疑問について、調べてみました。

 

(1)借金がいくらあっても、日本の資産が大きいから大丈夫じゃないの?

(2)日本の国債は日本の銀行(=日本人の貯金)で買ってるから大丈夫じゃないの?

(3)日本銀行の異次元の緩和の何が問題なの?

 

  • 借金がいくらあっても、日本の資産が大きいから大丈夫じゃないの?

日本は資産が多く、資産を売れば借金は返済できるという説は人口に膾炙しており、希望の党もこの説を唱えています。

 

確かに、国の資産と負債を表したバランスシートによると、平成21年度末時点では、1019兆円の負債に対し、647兆円の資産が存在しています。しかしながら、これらの資産の大半は、性質上、直ちに売却して赤字国債・建設国債の返済に充てることが出来るようなものではないのです。

 

例えば、年金積立金の運用寄託金(121兆円)は、将来の年金給付のために積み立てられたものです。また道路・堤防などの公共用財産についても、国道は63兆円、堤防は67兆円で計上されているのですが、公共の福祉の関係上売却することもできそうにありません。そのため、日本の資産の売却は部分的には可能ですが、負債すべてを補えるような宝の山ではないのです。

 

  • 日本の国債は日本の銀行(=日本人の貯金)で買ってるから大丈夫じゃないの?

日本の国債は9割以上が国内資本により購入されているため、ギリシャのように返済を強要されることは無いため大丈夫だという説があります。

 

確かに、国債は主に金融機関が購入し、金融機関は家計からの預金によって国債を購入しています。そのため大量の国債残高は家計の金融資産が支えていることは間違いありません。

 

しかしながら、家計の金融資産は伸び悩んでおり、日本の債務を賄えなくなりつつあるのが現状です。

1 家計金融純資産と一般政府総債務(財務省 社会保障・税一体改革大綱の概要より)

 

そのため、現在は大丈夫であるとしても、今後は家計の金融資産では賄えなくなる可能性が高いのです。

 

  • 日本銀行の異次元の緩和の何が問題なの?

下のグラフは、現在の量的緩和で長期国債の買い入れを継続した場合、中央銀行の総資産がどこまで膨らむかを予測したものです。

図2 主要中央銀行の総資産(対GDP)の推移

(日経ビジネスオンライン 出口が遠い時こそ、真剣に議論するべき 異次元緩和の出口戦略を考える(3)より)

 

これによれば、日銀の総資産は2016年末にGDP80%超に達することが見込まれます。これは米国のFRB(連邦準備理事会)や欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)の総資産(GDP比)が20%台の範囲にあることを考えると、日本のGDPに占める日銀のウェイトが日本では桁外れに大きいことが読み取れます。

 

したがって、もしこのまま量的緩和が続き、通貨量が増えている状況で景気が回復し始めると、急激なインフレや金利が上昇する恐れがあるのです。もし金利が0.0〇%から0.〇%に上がるだけで国債の利払い費は単純計算で10倍まで膨れ上がり、あっという間に財政は破綻してしまいます。そのため日銀が国債を大量に買い続けることは問題なのです。

 

〇まとめ

日本の財政について、少し理解が深まったでしょうか。日本の財政については、三者三様、様々な意見が述べられています。そのため、誰がどの立場から何の目的で話しているのか、話し手の意図に注意しながらいろんな意見に耳を傾け、この国の将来について想いを馳せて頂ければと思います。

 

カテゴリー: i think

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